みなさま、こんばんは。

自費介護サービスYKB代表の吉田です。

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自宅で看取る

自宅で死を迎えることを望む方は多くいらっしゃいます。
現行制度での課題等を含め、自宅で看取ることの難しさを書かせていただきます。


1.介護予防・日常生活支援総合事業

平成27年4月より、介護認定にて要支援者と認定された高齢者は、介護保険から各自治体でのサービスに段階的に移行されています。
これを介護予防・日常生活支援総合事業といいます。

厚生労働省の介護予防・日常生活支援総合事業のページはこちらから

住み慣れた地域で最後まで。
人生の終末期を自宅で過ごし、最後を迎えることの出来る地域づくりを目標としています。


2.自宅での終末期介護事例

弊社のお客様で、自宅で終末期を迎えた方がいらっしゃいました。
最後はショートステイ先にてご逝去されましたが、そこに至るまでは、ご家族の多大なる努力がありました。

その方は、90代女性、要介護4(最後は要介護5だったと思います)。
週2回のデイサービス、週1泊~2泊のショートステイ、月2回の訪問診療を受けながら、ご自宅にて娘さんと生活されていました。

ご自宅内は、手すり等に掴まり独歩可能でしたが、たまに転倒されることもあり、また、食事の準備等はご自分で出来無いので、自宅にてお一人にすることができない状態。
娘さんはお仕事をされており、デイサービスやショートステイ利用時に仕事をこなし、その他の時間は、母親と一緒に過ごすという毎日。

娘さんの介護軽減と、デイサービスやショートステイを利用出来ない時のお仕事中の介護を、弊社にてお手伝いさせていただいておりました。

今年の夏に体力が著しく低下し、月の半分はショートステイで生活されることになり、ご自宅での生活はベッド上での寝たきり生活となる。
月10日程度のショートステイと週2回の訪問介護(清拭1時間)、週1回の訪問看護を利用するだけで、介護保険を全て利用してしまい、その他の時間は、娘さん一人で食事介助・排泄介助・見守りをされていました。

介護保険サービスと弊社のような介護保険外サービスを利用しても、その他の時間は娘さん一人。
脱水症状のあった際は、娘さんは寝ずの番だったようです。

弊社のような介護保険外サービスを利用されていたからこそ、少しは娘さんの介護量は軽減されていたと思いますが、そうでなければ、相当な肉体的精神的疲労であっただろうなと推測されます。

でも、これが現状なのでしょう。

自宅での長期的な終末期介護を無理なく行うには、介護者は最低3人は必要ではないかなあと感じます。

頭から親の介護を忘れる時間と、体の休息は介護者にとって重要なものであります。

この娘さんは、仕事と介護を両立し、しっかりと母親を看取られました。
しかし、その肉体的精神的疲労というものは、他人には計り知れないものであります。


3.自宅で看取ることが難しい理由

上記の事例からも、介護保険にて受けることの出来るサービスは限られています。
また、夜間巡回型の訪問介護看護の事業所の設立が進んでいないこともあり、夜間の介護の担い手は、家族に委ねられている現状があります。

介護疲れから殺してしまうという痛ましい事件が報道されることがあります。
原因は介護負担がお一人に多くかかっていたことと寝不足であるという結果がこの前ニュースになっていましたね。

介護殺人 加害半数「不眠」 毎日新聞調査

よって、家族でどれだけ介護を分担できるかが重要と思います。
が、他親族に頼ることの出来無い方もいるのも現実。

介護保険外サービスは、介護保険ではできないことや足らないことを提供します。
どちらかといえば、独居高齢者の家事支援や、軽度介護、そして、介護者支援というイメージが強いかと思います。

私は、そうではないと考えます。
自宅での「看取り」のような重介護、そして看取り期の介護者支援こそ、介護保険外サービスの役割ではないでしょうか。

私は、上記事例の経験から、そう強く感じています。


4.看取り介護における、入所施設の重要性

私は、現在の介護保険外サービスの会社を設立する前、介護付き有料老人ホームに勤めていました。
施設でも多くの方をお看取りさせていただきましたが、利用者ご本人もご家族も、安心して安らかな最後を迎えてくれていたと感じています。

やはり、看取り介護となると、施設の方が安心できます。

今年の介護報酬改定で、特養は看取り加算が充実されました。

平成27年介護報酬改定(特別養護老人ホーム)

ということは、国は、特養に看取り介護の充実を求めているということ。

みずほ情報総研の「多死社会における看取りの選択肢」という記事内にも書かれていますが、看取り実績の無い施設も多くあるという現実があります。

多死社会における看取りの選択肢の記事はこちらから

私は、看取り介護は日々の介護の延長線上にあると思います。
入所施設での看取り介護を求められている今、看取り介護の実績の無い施設は、一歩踏み出してほしいと感じます。


5.まとめ

自宅で看取るということ。

とにかく、夜間巡回型訪問介護看護事業所の充実。
そして、自社サービスの宣伝ではありませんが、介護保険外サービスが看取り期等の重介護期にも多く利用されること。

少しでも、介護者(家族)の負担を軽減してきたいですね。


(文中の意見や言葉は、筆者の個人的見解です)